【保育園向け】施設機能強化推進費加算の20万円は何に使える?備品購入だけで終わらせない活用の考え方

「施設機能強化推進費加算の20万円、今年も非常食とヘルメットで終わりそう…」

そんな声を、保育園・こども園からよくお聞きします。

非常食を買い足す。
保存水を入れ替える。
ヘルメットの数を増やす。

たしかに、どれも大切な備えです。

ただ、毎年同じように消耗品の補充だけで20万円を使い切ってしまうと、こんな疑問が出てきます。

「うちの園、備品は揃っているはずなのに、本当に災害のときに動けるんだろうか」
「避難訓練はやっているけれど、いつも同じ流れで、これでいいのかな」
「保育士が、地震や火災のときに本当に正しい判断ができるのか不安」

私自身、15年間、消防の現場で多くの災害で活動してきました。
そこで強く感じたのは、実際の災害で命を分けるのは、「人がどう動けるか」だということです。

施設機能強化推進費加算は、防災用品を買うためだけの予算ではありません。
人の動きや、園としての仕組みを整えるためにも使える加算です。

この記事では、20万円という予算を、保育園の防災対策にどう活かせるのかを、現場目線で具体的に整理します。

制度の基本や対象施設については、前の記事で詳しく解説しています。

※実際の対象経費や申請手続きは自治体によって異なる場合があります。申請を検討する際は、必ず施設所在地の自治体にご確認ください。

目次

20万円は「備品購入だけ」の加算ではありません

施設機能強化推進費加算というと、非常食、保存水、ヘルメット、簡易トイレなど、防災備品を買うためのお金というイメージが強いかもしれません。

もちろん、それも大切な使い方の一つです。

ただ、この加算で考えられる活用範囲は、もう少し広く取ることができます。

保育園の防災対策を整理するとき、私たちは次の3つの視点で考えることをおすすめしています。

  • 災害に備えるための備品
  • 職員の防災教育
  • 避難誘導体制や避難訓練の充実

つまり、モノをそろえるだけでなく、学ぶこと、動けるようにすることにも関係する加算として考えることが大切です。

活用例1:まずは防災備品を整える

一番わかりやすい使い方は、防災備品の整備です。

たとえば、こうしたものが検討対象になります。

  • 非常食・保存水
  • ヘルメット・防災頭巾
  • 誘導ロープ・拡声器
  • 簡易トイレ・ライト
  • 避難車・担架

特に、まだ備品が十分に揃っていない園では、まずここから整えるのが自然な流れです。

ただ、ここで一つお伝えしたいことがあります。

備品は、買って終わりにしないことが大切です。

たとえば、避難車を新しく購入した園で、こんな話がありました。

「サイズが小さかった」
「想像以上に重かった」

これは、購入してから気づいたことです。

誘導ロープも同じです。

子どもが握りやすい太さか、年齢に合っているか、避難経路で本当に使いやすいか。
これらは、実際に使ってみないとわかりません。

備品は、「揃えること」と「使って確かめること」がセットだと考えてください。

活用例2:職員の防災教育に使う

実際の災害が起きたとき、最初に動くのは職員です。

火災が起きたとき、誰が通報するのか。
初期消火をするのか、避難を優先するのか。
地震のあと、園庭に出るのか、室内で待機するのか。
水害時に、いつ避難判断をするのか。

これらは、マニュアルを置いているだけでは身につきません。
頭で知っていることと、体が動くことは、別のものだからです。

職員向けの防災教育では、たとえば次のようなテーマが考えられます。

  • 火災時の初期対応(通報・初期消火・避難の優先順位)
  • 地震発生時の職員の動き
  • 午睡中・給食中・園庭遊び中、それぞれの場面での対応
  • 0歳児・1歳児クラスの避難方法
  • 配慮が必要な子どもの避難
  • 職員同士の役割分担と引き継ぎ
  • 災害時の声かけ
  • 保護者対応の流れ

たくさんの避難訓練を見てきて強く思うことが、避難訓練での保育士さんは完璧すぎるということです。

ただ、実際の災害時に保育士が焦らないで落ち着いて行動できるとは限りません。

子どもだけでなく、保育士自身も守る訓練にしてほしい。

保育士が無理な動きをしてケガをしてしまうと、結果的に子どもを守る体制も崩れてしまいます。

防災教育は、「知識を増やすため」だけでなく、園の状況に合わせて、職員が安全に、迷わず動けるようにするために行うものだと考えています。


活用例3:避難訓練と振り返りを充実させる

保育園では、毎月避難訓練を行っているはずです。

ただ、毎回同じ流れで、同じ出火想定で、同じ避難経路で訓練していると、こんな疑問が出てきませんか。

「やってはいるけれど、実際の災害に即しているんだろうか」

もちろん、基本の流れを繰り返すことには大きな意味があります。

子どもたちが避難に慣れること、職員が役割を確認することは、何より大切です。

その一方で、実際の災害では、予定どおりに動けるとは限りません。

たとえば、こんな状況です。

  • 出火場所がいつもと違う(給食室ではなく事務室から出火)
  • 正面玄関が使えない
  • 園庭に避難できない(建物の崩落リスクや地割れ)
  • 午睡中に地震が起きる
  • 職員が少ない早朝・夕方の時間帯に起きる
  • 雨や猛暑で屋外避難が難しい

こうした「想定外」を少しずつ訓練に取り入れていくことで、避難訓練はより意味のあるものに変わっていきます。

そして、もう一つ大切なのが振り返りです。

  • どこで時間がかかったか
  • 声かけは子どもに伝わったか
  • 備品はすぐ取り出せて、使いやすかったか
  • 子どもや保育士に無理な動きはなかったか
  • 次回見直したい点は何か

訓練を実施して、振り返って、改善する。
この積み重ねが、園の防災力を本物にしていきます。

20万円を考えるときに大切なのは「組み合わせ」です

施設機能強化推進費加算の20万円を考えるとき、
「全部を備品に使う」「全部を研修に使う」と、一つに決める必要はありません。

大切なのは、その年の園にとって何が必要かを見ながら、組み合わせて考えることです。

園の状況おすすめの使い方の重心
まだ備品が足りない備品整備を優先する
備品はそろっている職員研修や訓練の見直しに目を向ける
訓練はしているが形だけになっている振り返りや改善の仕組みに力を入れる
新人保育士が増えた基礎的な防災教育を厚めにする

毎年同じように非常食や備品を買い足すだけではなく、

「園の防災対策を一歩前に進めるために、今年は何に使うか」

という視点を持つと、この加算の価値が大きく変わってきます。

対象になりやすいもの・なりにくいものを整理する

ここまで活用例を見てきたうえで、気になるのが「これは対象になるのか」という点だと思います。

考え方の基本は、防災対策としての必要性を説明しやすいかどうかです。

対象になりやすいもの(検討しやすいもの)

  • 防災備品(非常食、保存水、ヘルメット、誘導ロープなど)
  • 防災教育教材(DVD、書籍、教材一式)
  • 防災研修に関する費用
  • 避難訓練の充実に関する費用
  • 避難誘導に必要な備品(担架、避難車など)

注意が必要なもの

  • 法令上、通常設置が求められている設備
  • 防犯目的が中心の物品
  • 日常保育で通常使用する消耗品
  • 防災との関連性が説明しにくい汎用品
  • 通常の園運営に近い費用

同じ物品やサービスでも、「防災対策として必要なのか、通常業務として必要なのか」で見られ方が変わることがあります。

迷う場合は、購入や契約の前に、自治体の担当窓口へ確認しておくと安心です。

自治体に確認するときのポイント

実際に自治体に相談するときは、ただ「これは対象になりますか?」と聞くのではなく、次のように整理して伝えると、話がスムーズに進みます。

  • 何のために使うのか
  • どのような防災対策につながるのか
  • 備品なのか、研修なのか、訓練なのか
  • 通常保育ではなく、防災対策として必要な理由は何か
  • どのように記録や報告を残す予定か

また、実際に予算を活用するときの流れは、次のように整理するとわかりやすくなります。

  1. 自治体に確認する
  2. 園の現状を棚卸しする
  3. 年間の防災計画を考える
  4. 実施して記録を残す
  5. 実績報告につなげる

「うちの園、何から始めれば?」と感じたら

ここまで読んで、もしかしたらこう感じている方もいるかもしれません。

「言いたいことはわかった。でも、自分の園に当てはめて考えると、何から手をつければいいのか正直わからない」

これは、当然のことだと思います。
園によって、職員の経験年数も、建物の構造も、子どもの年齢構成も、地域のリスクも違うからです。

私たちファーストレスキューでは、保育園・こども園向けに、

  • 防災講座(職員向け・園児向け)
  • 避難訓練の支援と振り返り
  • 園の状況に合わせた防災対策の見直し

を行っています。

私自身、消防の現場で15年間、火災や地震、水害の対応に立ち会ってきました。
その経験から、保育園で本当に必要な備えは、マニュアルや備品リストだけでは見えてこないということを強く感じています。

「備品はあるけれど、職員が実際に動ける訓練にしたい」
「毎月の避難訓練を、もっと実際の災害に即した内容に近づけたい」
「子どもだけでなく、保育士自身も守れる体制を考えたい」

そう感じられたら、ぜひ一度ご相談ください。

※ファーストレスキューの支援が施設機能強化推進費加算の対象となるかどうかは、最終的には自治体の判断になります。申請を検討される場合は、事前に施設所在地の自治体へご確認ください。

まとめ

施設機能強化推進費加算の20万円は、防災備品を購入するためだけの予算ではありません。

保育園・こども園では、

  • 防災備品を整える
  • 職員が防災を学ぶ
  • 避難訓練を見直す
  • 訓練後に振り返りを行う

といった形で、園の防災対策をより実践的に整えるために活用を考えることができます。

大切なのは、20万円を「何を買うか」だけで考えないこと。
園の状況に合わせて、

今、何が足りていないのか。
どこを強くしたいのか。
物だけでなく、人の動きや仕組みまで整えられているか。

そうした視点で見ていくことで、施設機能強化推進費加算は、園の防災対策を一歩前に進める大きなきっかけになります。

参考資料

  • こども家庭庁「令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項」
  • こども家庭庁「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」
  • こども家庭庁「公定価格全般FAQ 第30版」

※この記事は、制度内容をわかりやすく整理するために作成したものです。実際の対象経費、加算額、申請手続きは自治体によって異なる場合があります。申請を検討される際は、必ず施設所在地の市区町村の担当窓口にご確認ください。

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