TOPPAN労働組合安全学習会にて「元消防士による現場目線からの防火防災セミナー」を実施しました

2026年4月18日(土)、TOPPAN労働組合様の2025年度 安全学習会にて、「元消防士による現場目線からの防火防災セミナー」を実施させていただきました。

当日は、TOPPAN労働組合 本部大会議室およびオンラインにて、9時30分から12時までの2時間30分にわたり、防火防災・労働災害・熱中症対策・防災グッズについてお話ししました。

今回の講座では、単に防災知識を学ぶだけではなく、「実際に災害や事故が起きた時、自分は動けるのか」「職場の仲間とどう声をかけ合うのか」「想定外の状況でどう判断するのか」を考えていただく内容としました。

目次

イベント概要

項目詳細
講座名元消防士による現場目線からの防火防災セミナー
開催日2026年4月18日(土)
時間9:30〜12:00
主催TOPPAN労働組合
会場TOPPAN労働組合 本部大会議室・オンライン

講座内容

今回の安全学習会では、主に次の4つのテーマでお話ししました。

  1. 災害時の人間の行動
  2. 火災・地震について
  3. 労働災害・熱中症対策
  4. 備えるべき防災グッズ

火災や地震への備えはもちろん、災害時に人が冷静に動けなくなる理由、職場で事故を防ぐための安全意識、熱中症対策、防災グッズの見直しまで、元消防士としての現場経験をもとにお伝えしました。

災害時にまず大切なのは「自分の命を守る」こと

講座の冒頭では、災害時に必ず覚えておいてほしいこととして、「自分の命を守る」ことをお伝えしました。

災害時には、想定外のことが起こります。

特に大規模災害では、助ける人よりも助けられる人の方が多くなり、消防や行政がすぐに来られるとは限りません。だからこそ、まずは一人ひとりが自分自身の命を守る判断をすることが重要です。

また、災害時には人は冷静ではいられません。

あわてる、うろたえる、放心する。
これは特別な人だけに起こるものではなく、誰にでも起こり得る反応です。

そのため、災害が起きてから考えるのではなく、想定外が起きた時の判断基準をあらかじめ決めておくことが大切です。

消防士の判断基準として、講座では次の優先順位を共有しました。

  1. 生命の安全
  2. 延焼阻止・被害拡大防止
  3. 財産保護

物を守るより、まず命を守る。
この基準を持っておかなければ、災害時には無意識のうちに「物が壊れない方」「いつも通りの行動」を優先してしまうことがあります。

防災を「防災のためだけ」にしない

災害を乗り越えるためには、判断力、観察力、マルチタスクの力が必要です。

しかし、これらは防災訓練の時だけ鍛えるものではありません。

日常業務の中で、役職に関係なく判断する習慣をつける。
物が落ちている、通路がふさがっているなど、小さな変化に気づけるようにする。
動きながら考え、必要なことを周囲に伝える。

こうした日常の積み重ねが、災害時の行動力につながります。

防災で一番大切なことは継続です。
しかし、気合だけでは続きません。

だからこそ、防災を特別なものとして切り離すのではなく、日常業務の安全意識や仕事の能力向上と結びつけることが現実的です。

火災・地震について

火災については、TOPPAN様が日頃から安全対策に力を入れられていることを前提にしながらも、「安全に配慮している会社でも事故は起こるかもしれない」という視点でお話ししました。

防爆対策、静電気火災の防止、危険物の管理、各種訓練や安全教育など、設備や仕組みが整っていても、災害や事故を完全にゼロにすることはできません。

設備は安全の範囲を広げるものです。
しかし、設備だけで事故のすべてを防ぐことはできません。

人間も設備も完璧ではないからこそ、設備トラブルが起きた時に対応できるか、特定の人だけが対応方法を知っている状態になっていないかを確認しておく必要があります。

また、火災と地震では災害の性質も異なります。

火災は、時間が経つにつれて状況が変化し、危険度が上がっていきます。
一方で地震は、広範囲に一気に物理的な破壊が起こります。

それぞれの災害の特徴を理解したうえで、職場や地域に合った備えを考えることが大切です。

火災時に消防士が知りたいこと

火災が発生した時、消防士がまず知りたい情報は主に次の3つです。

  1. 要救助者の有無
  2. 危険物の特定
  3. 出火箇所

この情報が早く正確に伝わることで、消防活動の初動は大きく変わります。

また、火災時には「火を消すこと」よりも「避難」が優先です。

消火器を使うことは大切ですが、煙や炎が広がる中で無理に消火を続けると、避難が遅れる危険があります。特に、物を守ろうとする意識が強いと、逃げ遅れにつながることがあります。

そのため、仲間同士で声をかけ合い、避難を促すことが重要です。

パニックの同僚への声かけ

災害時には、パニックになっている人への声かけも大切です。

講座では、声かけの3原則として次の内容をお伝えしました。

不安を煽らない。
ただし、根拠なく安心もさせない。

具体的に伝える。
必要なことは、継続的に何度も伝える。

できるだけ顔を見て伝える。
伝わっているかを確認する。

そして、絶対に避けるべきこととして「無言」を挙げました。

何も言わないことは、相手の不安を大きくする場合があります。
短くても、具体的な言葉で伝えることが大切です。

労働災害・熱中症対策

労働災害については、救急現場で見てきた事例から、危険行動が起こりやすい場面についてお話ししました。

事故は、必ずしも大きなミスから起こるわけではありません。

疲れ、ストレス、体調不良、慣れ。
こうした小さな要因が重なることで、普段ならしない危険な行動につながることがあります。

また、難しい作業が終わった後の「安心」も危険です。
緊張が解けた瞬間に事故が起こることもあります。

安全を守るためには、若手・ベテランを問わず、注意し合える関係性を築くことが重要です。

熱中症はWBGTだけでは見抜けない

熱中症対策では、暑さ指数であるWBGTだけに頼らないことの重要性をお伝えしました。

もちろんWBGTの確認は大切です。
しかし、同じ環境でも倒れやすさは人によって違います。

朝食を抜いている。
寝不足である。
ストレスを抱えている。
真面目で責任感が強く、無理をしてしまう。

このような要因が重なると、数字上は大きな危険が見えなくても、熱中症のリスクは高まります。

また、危険な時期は真夏だけではありません。

暑熱順化ができていない時期や、夏の疲れが出る時期も注意が必要です。人によって体感温度が違う時期だからこそ、基本的には暑がりの人、つらさを感じている人に合わせることが大切です。

現場で見るべきポイントとしては、汗が異常に出ていないか、顔が赤くなっていないか、反応が悪くなっていないかなどがあります。

体調を報告していても、急に悪化することがあります。
だからこそ、互いの顔色や雰囲気を見ることが最大の予防になります。

備えるべき防災グッズ

最後に、非常時に備えておくべき防災グッズについてお話ししました。

防災グッズは、ただ揃えればよいものではありません。

大切なのは、持ち歩ける重さであること。
そして、自分にしか必要ないものを必ず入れておくことです。

薬、メガネ、コンタクト用品、家族の連絡先、持病に関する情報などは、一般的な防災グッズリストには十分に書かれていないこともあります。

また、防災用品の中で見落とされやすいものとして、暑さ対策グッズがあります。

水、非常食、ライト、トイレ、衛生用品などは準備していても、暑さへの備えが抜けているケースがあります。夏場の避難や停電を考えると、冷却グッズ、塩分補給、暑さ対策用品も重要です。

防災グッズは使ってみることが大事

備えは、持っているだけでは十分ではありません。

いざという時に使えなければ意味がありません。

たとえば非常用トイレであれば、使い方は分かっているか、どこで使うのか、使った後はどう処理するのかまで確認しておく必要があります。

防災グッズは「買って終わり」ではなく、「使える状態にしておく」ことが大切です。

事後アンケートでも高い評価をいただきました

講座後には、TOPPAN労働組合様より事後アンケートの結果も共有いただきました。

今回の安全学習会については、97件の回答のうち、「非常に有意義だった」が30.9%、「有意義だった」が63.9%となり、9割以上の方から有意義だったとの回答をいただきました。

また、「各事業所や職場の安全活動に役立つと感じた部分はありましたか」という設問に対しても、「非常にそう思う」が46.4%、「ややそう思う」が52.6%となり、多くの方に職場での安全活動につながる内容として受け止めていただきました。

自由記述では、次のような声もいただきました。

災害発生時のシミュレーションを頭の中で実施するきっかけになった。
普段、訓練しかしていないことに対して気づきが得られた。
正解のない話し合いは有意義だった。

今回の講座では、単に防災知識を学ぶだけでなく、「実際に災害が起きた時に自分はどう動くのか」「職場の仲間とどう声をかけ合うのか」「マニュアル通りにいかない状況でどう判断するのか」を考えていただくことを大切にしました。

アンケートでも、災害時のシミュレーションや、訓練のあり方、正解のない状況での話し合いについて評価をいただき、現場目線の防火防災セミナーとして、参加者の皆様に実践的な気づきを持ち帰っていただけたのではないかと思います。

まとめ

今回のTOPPAN労働組合2025年度 安全学習会では、元消防士としての現場経験をもとに、防火防災、労働災害、熱中症対策、防災グッズについてお伝えしました。

災害や事故が起きない設備がある。
地震が起きた時の備えがある。
災害を学ぶ環境もある。

それでも、災害や事故は完全にはなくなりません。

だからこそ、一人ひとりが「自分の命を守る」意識を持ち、職場の仲間と声をかけ合い、安全を最優先にする風土を作っていくことが大切です。

事後アンケートでも、多くの方から「有意義だった」「職場の安全活動に役立つ」との評価をいただきました。今回の講座が、TOPPAN労働組合の皆様の安全活動、防火防災への意識づけ、そして日々の事故防止につながれば幸いです。

このたびは貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。

「本当に命を守る防災」を、それぞれの現場で続く形へ

ファーストレスキュー株式会社では、企業・団体・自治体・学校・保育園・福祉施設など、それぞれの現場に合わせた防火防災講座・安全研修・避難訓練支援を行っています。

災害時に本当に命を守るためには、知識を学ぶだけでは十分ではありません。

その場所で起こり得るリスクを知り、実際に働く人・過ごす人が自分ごととして考え、無理なく続けられる形に落とし込むことが大切です。

ファーストレスキューでは、元消防士としての現場経験をもとに、マニュアルや設備だけでは補いきれない「判断」「声かけ」「行動」につながる防災をお伝えしています。

防災は、一度学んで終わりではありません。
それぞれの現場で続けられてこそ、災害時に命を守る力になります。

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