BCPの机上訓練はどう進める?地震シナリオと実施手順・評価方法

BCPを作成したものの、一度も訓練で使っていない。
訓練をしたいが、何を話し合えばよいか分からない。
毎年の避難訓練は行っているため、BCP訓練も実施できていると思っている。

このような企業は少なくありません。

しかし、避難訓練とBCP訓練では、確認する内容が異なります。

避難訓練では、主に地震や火災が発生した直後の安全確保、通報、避難、点呼などを確認します。

BCP訓練では、その後に、

  • どの業務を止めるのか
  • どの業務から復旧するのか
  • 経営者が不在なら誰が判断するのか
  • 従業員が集まらなければどうするのか
  • 取引先へ何を伝えるのか
  • 代替拠点やバックアップを本当に使えるのか

を確認します。

内閣府の事業継続ガイドラインも、BCPを文書や社内ページで周知するだけで、すべての関係者が実践できると考えるのは現実的ではないと指摘しています。継続的な教育・訓練によって、意思決定能力を鍛え、BCPやマニュアルの弱点を洗い出すことが必要です。

一度も訓練していないBCPは、使えることを確認できていない計画です。動けるBCPにはなっていません。

本記事では、企業が初めてBCP机上訓練を行う場合の準備、地震シナリオ、進行方法、評価項目、BCPへの反映方法まで解説します。

目次

BCPの机上訓練とは

BCPの机上訓練は、参加者が会議室やオンライン上に集まり、想定された災害状況について議論しながら、判断や対応を確認する訓練です。

実際に避難したり、設備を動かしたりすることが中心ではありません。

BCP、組織図、拠点図、業務一覧などを見ながら、

  • 自分の役割を理解しているか
  • 誰へ報告するか
  • 誰が決定するか
  • 現在の情報で何を判断するか
  • 次にどの情報が必要か
  • BCPに書かれた代替手段を実行できるか

を確認します。

中小企業庁は机上訓練について、策定したBCPの手順に従って議論し、各メンバーの役割と実際に活動できるかを確認する訓練と説明しています。また、最初からBCP全体を対象にするのではなく、現在の防災訓練へ事業継続の要素を加えたり、一部の手順だけを取り上げたりする方法も示しています。

机上訓練には段階がある

初めから複雑なシナリオを使う必要はありません。

段階訓練方法主な目的
1内容確認・ウォークスルーBCPの役割、手順、資源を順番に確認する
2シナリオ型机上訓練時間とともに変化する状況へ対応する
3ロールプレイング型取引先、行政、報道、従業員などへの対応を模擬する
4実動を含む総合訓練代替拠点、通信、データ復元などを実際に試す

内閣府のガイドラインでも、BCPやマニュアルに基づく役割・手順・代替先・必要資源の確認を机上で行う方法のほか、状況想定訓練、ロールプレイング、実働を組み合わせた総合演習などが例示されています。

初めて行う企業は、レベル1またはレベル2から始めるのが現実的です。

いつ起こるか分からないんだから、一気にやろうとする人も少なくありません。実際、それが理想です。ただそれで満足してしまう場合も多いです。必要なのは継続です。まずはできることから始めてください。

避難訓練とBCP机上訓練の違い

項目避難訓練BCP机上訓練
主な目的人命の安全確保重要業務の継続・早期復旧
主な時間軸発災直後発災直後から数日・数週間後
主な参加者従業員、来客、避難誘導担当経営者、各部門責任者、BCP担当者
確認内容安全確保、通報、避難、点呼業務停止、復旧順位、代替策、対外対応
主な形式実動議論、意思決定、状況付与
成果避難行動の改善BCPと経営判断の改善

避難訓練を毎年実施していても、重要業務や復旧目標を確認していなければ、BCP訓練を実施したことにはなりません。

一方、BCP机上訓練だけで避難や初動対応を確認できるわけでもありません。

両方を連動させる必要があります。

初動対応や役割分担を整理したい場合は、企業向け防災マニュアル作成・見直しもご確認ください。ファーストレスキューでは、建物、業務、勤務体制に合わせて、初動対応、情報共有、避難判断などを整理しています。 

BCP机上訓練の実施手順

1.訓練の目的を一つか二つに絞る

最初に決めるのは、地震の規模ではありません。

今回の訓練で何を確認するのかです。

目的が曖昧なままシナリオを作ると、議論が広がりすぎて、結局何を評価すればよいか分からなくなります。

初めての訓練なら、次の中から一つか二つに絞って行ってください。

  • 経営者不在時の代行順位を確認する
  • BCPの発動基準を確認する
  • 従業員不足時の重要業務を確認する
  • 停電時の業務継続を確認する
  • 主要取引先への連絡内容を確認する
  • 代替拠点への移行判断を確認する
  • データ復旧の手順を確認する
  • 目標復旧時間の妥当性を確認する

例えば、

「経営者不在時でもBCPを発動し、重要業務の停止・継続を決定できるか確認する」

という目的なら、シナリオには経営者不在と重要業務への影響を入れるようにしましょう。

一方、データ復元が目的でなければ、サイバー攻撃、サーバー障害、バックアップ破損などを大量に入れる必要はありません。

内閣府のガイドラインも、訓練の有効性を評価するため、目標と達成度の評価方法を事前に決める必要があるとしています。

目的を決めずに行う机上訓練は、話し合いであって検証にはなりません。また訓練参加者もなんのためにやってるのか分からず、こなすだけになりがちで、効果的ではありません。

2.参加者と役割を決める

BCP担当者だけで訓練しても、会社全体の判断は確認できません。

重要業務に関係する部門から参加者を選びます。

主な参加者

  • 経営者または経営判断を代行する役員
  • BCP・防災担当者
  • 総務・人事担当者
  • 重要業務の責任者
  • 営業・顧客対応担当者
  • 情報システム担当者
  • 設備・施設担当者
  • 経理・財務担当者
  • 拠点責任者

すべての部署を参加させる必要はありません。

訓練目的に必要な人を選びます。

訓練内の役割

役割内容
プレイヤーシナリオに基づいて判断・対応する参加者
進行役時間管理、質問、議論の整理を行う
コントローラー新しい状況や問い合わせを参加者へ付与する
記録担当判断内容、理由、課題を記録する
評価者目的に沿って参加者の行動を評価する

小規模な訓練では、進行役、コントローラー、評価者を同じ人が兼ねても構いません。

ただし、進行役が答えを教えすぎないよう注意してください。

進行役が指揮官になってはいけない

訓練の進行役は、参加者に正解を教える人ではありません。

「次は取引先に連絡してください」「代替拠点へ移りましょう」と進行役が誘導すると、会社が自ら判断できるかを確認できなくなります。

問いかけるべきなのは、

  • 誰が決めますか
  • 何を根拠に判断しますか
  • その情報はどこから入手しますか
  • その担当者と連絡が取れなければどうしますか

という考えさせる質問です。

3.自社の事業に合ったシナリオを作る

シナリオは、映画のように細かい物語を書く必要はありません。

必要なのは、訓練目的を確認できる条件です。

最初に決める条件

  • 発生日時
  • 災害の種類と規模
  • 勤務中・夜間・休日の別
  • 建物の被害
  • 従業員の被害と参集状況
  • 電気・水道・通信の状況
  • 重要設備の状態
  • 仕入先・物流の状況
  • 顧客から求められる対応
  • 経営者や責任者の所在

初めての訓練で、地震、火災、津波、サイバー攻撃、感染症をすべて同時に入れる必要はありません。

シナリオを難しくするほど、良い訓練になるわけではありません。

訓練目的を確認するために必要な障害だけを入れて行いましょう。

4.途中で伝える「状況付与」を作る

状況付与とは、訓練の途中で参加者へ追加する新しい情報です。

例えば、次のような内容です。

  • 社長と連絡が取れない
  • 停電の復旧見込みは3日後
  • 従業員の40%が翌日も出社できない
  • 主要設備が使用できない
  • 仕入先から納品停止の連絡が入った
  • 重要顧客から復旧予定を求められた
  • 代替拠点の一部設備が使えない
  • SNS上で誤った情報が拡散している

最初からすべての情報を渡すのではなく、時間の経過に合わせて追加します。

これにより、参加者が新しい情報を受けて、判断を修正できるか確認できます。

状況付与カードの例

時間状況付与確認したい判断
開始時平日14時、地域で震度6強安全確保、情報収集、BCP発動
10分後社長とBCP責任者に連絡が取れない代行順位と権限
20分後停電は3日間継続する見込み業務停止、電源配分、代替策
35分後主要仕入先から出荷停止の連絡在庫確認、代替調達、顧客連絡
50分後重要顧客から復旧見込みを求められる情報整理、対外説明、復旧目標

状況付与は参加者を困らせるために入れるものではありません。

BCPが置いている前提を一つずつ崩し、それでも判断を続けられるかを確認するために使います。

内閣府が公開する事業継続訓練の資料でも、シナリオの途中で状況を付与し、参加者の具体的な行動や意思決定を確認する方法が紹介されています。

災害時には、情報が最初から揃いません。どんどん新しい情報が入ってきます。目的を見失わずに判断を続けるは訓練で行っておかないと困難です。

5.訓練に必要な資料を準備する

資料を作り込みすぎる必要はありません。

初めての訓練なら、次の資料を用意します。

  • BCP
  • 防災マニュアル
  • 組織図
  • 緊急連絡先
  • 重要業務一覧
  • 拠点・設備の配置図
  • 主要取引先一覧
  • 備蓄・非常用電源の情報
  • 状況付与カード
  • 判断記録シート
  • 評価シート

まずはBCPを見ながら訓練して構いません。

暗記できているかどうかより、動きを確認し、身につけていくことが大事です。

一方、BCPの保管場所を知っているかも確認したい場合は、開始直後に配布せず、参加者自身に探してもらう方法があります。

6.訓練を実施し、判断理由まで記録する

訓練中に記録すべきなのは、最終的な回答だけではありません。

なぜその判断をしたのかを残します。

判断記録シート

時刻入手した情報判断・対応判断した人判断理由未確認事項
14:10社長と連絡不能専務がBCPを発動専務代行順位第1位緊急支出の上限
14:25停電3日継続生産停止、顧客対応を優先対策本部非常用電源が4時間のみ復旧業者の到着
14:40仕入先停止在庫量と代替先を確認購買責任者3日後に在庫切れ代替先の供給量

判断理由を残さなければ、訓練後に改善できません。

「結果的に正しかったか」だけでなく、その時点の情報から合理的に判断できたかを確認します。

情報がそろうまで判断を待たない

災害対応では、必要な情報がすべてそろってから判断できるとは限りません。

情報収集を続けながら、現在分かっている範囲で安全側の判断を行い、新しい情報が入れば修正します。

「まだ分からないから決めない」という判断もありますが、業務停止や避難など、遅れることで危険が増す判断まで先送りしてはいけません。

机上訓練では、情報が不足した状態で、

  • 今決めるべきこと
  • 追加情報を待てること
  • 誰に確認すること
  • 判断を見直す条件

を分けられるか確認してください。

7.訓練終了後に評価し、BCPを修正する

訓練は、終了時間が来たら終わりではありません。

振り返りと改善までが訓練です。

内閣府の訓練資料は、訓練直後に振り返り会を行い、BCPの不足事項、事前に実施すべき対策、判断や行動の改善点を参加者で共有することを推奨しています。評価では、訓練目的の達成度と参加者の行動を確認し、自己評価と評価者による評価を組み合わせる方法が示されています。

振り返りで確認する質問

  • 判断に迷った場面はどこか
  • 誰が決めるか分からなかったことは何か
  • 必要な情報は入手できたか
  • 連絡先や担当者は最新だったか
  • BCPの記載は理解できたか
  • 代替策は実行可能だったか
  • 重要業務の優先順位に合意できたか
  • 取引先へ説明できる内容があったか
  • 次回までに何を修正するか

「情報共有が大切だと分かった」「連携を強化したい」といった抽象的な感想だけで終わらせないでください。

災害経験がある人は少ないので、そんなことは起こらないだろうではなく、想像できることは起こりうると考えて、振り返りでは積極的に意見を言い合える環境を作ってください。

改善管理表

発見した課題改善内容担当者期限確認方法
社長不在時の支出権限が不明代行者の決裁上限を設定経営企画9月末BCPへ追記
代替仕入先の供給量が不明数量・納期を事前確認購買10月末回答書を保存
バックアップ復元時間が不明復元試験を実施情報システム11月末実測時間を記録
顧客向け説明文がない緊急連絡文のひな形を作成営業9月末次回訓練で使用

訓練を実施した事実だけでなく、どう修正されたかが大事です。

地震を想定したBCP机上訓練のシナリオ例

以下は、中小企業が初めて行う90分程度の訓練例です。

自社の建物、業種、勤務体制に合わせて変更してください。

基本設定

  • 発生日時:平日14時
  • 地震規模:事業所周辺で震度6強
  • 建物:倒壊はないが、一部の天井と設備が損傷
  • 人的被害:軽傷者2人、外出者3人と連絡が取れない
  • ライフライン:停電、断水、携帯電話がつながりにくい
  • 責任者:社長は出張中、BCP担当者は外出中
  • 重要業務:主要顧客への製品供給
  • 主要設備:停電により停止
  • 非常用電源:残り4時間
【状況付与1】地震発生直後

強い揺れが発生しました。事業所内で棚や備品が転倒しています。軽傷者が2人います。停電しており、携帯電話はつながりにくい状態です。

参加者が検討すること

  • 誰が現場を指揮するか
  • 従業員と来客の安全をどう確認するか
  • どこまで設備を点検するか
  • BCPを発動するか
  • 何を記録するか
【状況付与2】責任者不在

社長とBCP担当者へ電話をしましたが、連絡が取れません。余震が続いています。

参加者が検討すること

  • 誰が代行するか
  • どの権限を持つか
  • 業務停止を決められるか
  • 対策本部をどこに設置するか
【状況付与3】停電長期化

電力会社から、地域の復旧には少なくとも3日かかる見込みと発表されました。非常用電源の燃料は4時間分です。

参加者が検討すること

  • どの設備へ電力を使うか
  • 何を停止するか
  • 従業員を待機・帰宅させるか
  • 代替拠点へ移るか
  • 燃料を調達できるか
【状況付与4】仕入先停止

主要仕入先から、工場の被災により少なくとも1週間は出荷できないと連絡がありました。現在の在庫は3日分です。

参加者が検討すること

  • 代替仕入先はあるか
  • 在庫をどの顧客へ優先するか
  • 生産・受注を制限するか
  • 契約上の影響は何か
【状況付与5】重要顧客からの問い合わせ

売上の大きい顧客から、今後の納品予定を本日中に回答するよう求められました。

参加者が検討すること

  • 誰が回答するか
  • 何を事実として伝えるか
  • 確定していない情報をどう扱うか
  • 復旧見込みを示せるか
  • 他の顧客にも連絡するか

訓練終了時の確認

  • BCPを発動できたか
  • 代行者が意思決定できたか
  • 重要業務を絞れたか
  • 停電3日間の対応を決められたか
  • 仕入先停止への代替策があったか
  • 顧客へ説明できたか
  • BCPの不足を具体的に記録できたか

60分・90分・120分の進行例

60分|初めての内容確認型

時間内容
0~10分目的、前提、役割の説明
10~20分地震発生直後の対応
20~35分責任者不在・停電への対応
35~45分重要業務と取引先対応
45~60分振り返りと改善項目の決定

60分では、目的を一つに絞ることをオススメします。

90分|標準的なシナリオ型

時間内容
0~10分目的、ルール、役割説明
10~25分初動・BCP発動
25~40分責任者不在・従業員不足
40~55分停電・設備停止
55~70分仕入先停止・顧客対応
70~90分発表、評価、改善整理

120分|部門横断型

時間内容
0~15分事前説明
15~35分初動・BCP発動
35~55分人員・設備・通信
55~75分重要業務と代替策
75~90分顧客・取引先・資金
90~105分各部門の発表
105~120分評価、改善担当・期限の決定

時間を延ばすほど良い訓練になるわけではありません。

参加者が集中して議論でき、訓練後の改善まで行える時間にしてください。

長くても考えることが多いので意外に早く感じることの方が多いのは多いです。

BCP机上訓練の評価チェックリスト

評価項目できた一部できたできなかった
BCPを発動する条件を判断できた□□□
責任者不在時の代行者が決まった□□□
重要業務と停止業務を区別できた□□□
必要な情報を整理して収集できた□□□
判断内容と理由を記録できた□□□
従業員不足時の体制を決められた□□□
停電・通信障害への代替策を確認できた□□□
仕入先停止時の対応を検討できた□□□
顧客へ説明する内容を整理できた□□□
BCPの修正事項を具体化できた□□□
改善担当者と期限を決められた□□□

評価は参加者の能力を査定するものではありません。

BCPと組織体制のどこに改善が必要かを確認するために行います。

BCP机上訓練でよくある失敗

想定が簡単すぎる

全員が出社でき、経営者と連絡が取れ、通信や設備も使える想定では、BCPの弱点が見つかりません。

状況を詰め込みすぎる

初回から地震、火災、津波、サイバー攻撃、報道対応を同時に入れると、議論が散らばります。

進行役が正解を教える

参加者が判断する前に答えを示すと、自社の判断能力を確認できません。

経営者が参加しない

重要業務、業務停止、緊急支出、対外説明には経営判断が必要です。担当者だけでは決められません。

記録を残さない

「活発な議論ができた」で終わると、BCPを修正できません。

改善担当者と期限を決めない

課題を出しただけでは改善されません。誰が、いつまでに、どう確認するかまで決めます。

問題が出なかったことを成功と考える

訓練で問題が出なかったBCPが優秀とは限りません。想定が易しすぎた可能性があります。

中小企業庁の無料BCP訓練ツールも活用できる

中小企業庁の「事業継続力強化計画」のページでは、自社でBCP机上訓練を企画・実施するための支援ツールが公開されています。

安否確認、初動対応、事業継続の3種類について、訓練内容を検討できるシートです。初めて訓練を企画する場合の入口として活用できます。

中小企業庁「事業継続力強化計画・BCP訓練ツール」を確認する

公的なツールで基本を整理したうえで、自社の業務、建物、設備、取引先に合わせてシナリオを変更してください。

BCP机上訓練に関するよくある質問

BCPが完成していなくても訓練できますか?

実施できます。
未決定の部分がある状態で訓練すると、何を決めなければならないかが明確になります。
ただし、最低限、責任者、重要業務、連絡方法など、現在決まっている内容を整理してから行ってください。

まだ重要業務や復旧目標などをほとんど整理できていない場合は、先にBCPの最初の案を作っておくと訓練を進めやすくなります。
BCP作成の基本的な進め方は「中小企業のBCPの作り方|ひな形から始める7つの手順」で解説しています。

参加人数は何人が適切ですか?

初回は5~10人程度でも実施できます。
人数より、経営判断をする人と重要業務を知る人が参加していることが重要です。

BCPを参加者に見せてもよいですか?

見せて構いません。
BCPを暗記しているかではなく、BCPを使って判断できるかを確認します。
だんだん見なくても動けるようにしていきましょう。

正解を用意する必要はありますか?

一つの正解を用意する必要はありません。
ただし、訓練目的に照らして期待する行動や確認したい判断を、企画側で整理しておく必要があります。
こんなことも起こると活発に意見が出る方が動けるBCPになっていきます。

訓練はどのくらいの頻度で行いますか?

会社の規模、事業内容、リスクによって異なります。

定期的な実施に加え、人事異動、組織変更、設備やシステムの変更、BCPの大幅な改訂後にも行うことが有効です。内閣府のガイドラインも、定期的な実施のほか、体制や要員の変更、BCPの見直し後などに訓練する考え方を示しています。

BCP机上訓練は「うまく答える場」ではない

BCP机上訓練で確認するのは、参加者が模範解答を言えるかどうかではありません。

  • 責任者が不在でも判断できるか
  • 情報が不足していても優先順位を決められるか
  • 重要業務を絞れるか
  • 停電や従業員不足へ対応できるか
  • 取引先へ説明できるか
  • 代替手段を本当に使えるか
  • BCPの不足を発見できるか

を確認します。

訓練で判断が止まったとしても、それ自体が失敗ではありません。
実際の災害が起きる前に、止まる場所を発見できたことが成果です。
なんとなく流れてしまうより、発見できる方が大切です。

BCP机上訓練の目的は、計画が正しいと証明することではありません。
計画の弱点を見つけ、災害前に修正することです。

訓練で見つかった課題は、その場の反省だけで終わらせず、BCPへ戻して修正してください。

例えば、責任者不在で判断が止まったなら代行順位を見直す。停電時に重要業務を続けられなかったなら必要な電源や代替手段を見直す。仕入先停止への対応が決まらなかったなら代替先や在庫を確認する、といった形です。

訓練後にBCP全体を確認する際は「BCP見直しチェックリスト10項目|企業の地震対策を実効性ある計画へ」も活用してください。

自社だけでは訓練シナリオや評価を作れない企業へ

BCP担当者が、自社のBCPを自分で読み、自分でシナリオを作り、自分で進行し、自分で評価する。

この方法でも訓練は始められます。

しかし、作成時と同じ前提で訓練を設計すると、自社が見落としている弱点までシナリオに入らないことがあります。

ファーストレスキューでは、企業の業務、建物、勤務体制、既存BCPを確認し、

  • 訓練目的の設定
  • 地震シナリオの作成
  • 状況付与の設計
  • 当日の進行
  • 意思決定と情報共有の評価
  • 訓練後の振り返り
  • BCPへの改善反映

まで支援します。

元消防士として、予定した人、設備、通信手段が使えない状況でも、判断と連携を続けられるかという視点で確認します。

目的は、難しい訓練を実施することではありません。

自社のBCPで、実際に判断が止まる場所を見つけることです。

企業向けBCP作成・運用・訓練支援を確認する

ファーストレスキューのBCP支援では、重要業務、復旧目標、初動対応、備蓄、訓練記録、定期的な見直しまで一体的に整理できます。

参考資料

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この記事を書いた人

岡山市消防局で15年間消防士として勤務し、火災・救助・火災原因調査などに従事。熊本地震、西日本豪雨などの大規模災害対応も経験。現在はファーストレスキュー株式会社代表として、保育園・企業・学校・地域の防災研修、避難訓練、BCP・安全管理支援を行っています。

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