ハザードマップを開いたものの、
「色がたくさんあって、何を見ればいいのか分からない」
「自宅に色が付いていなければ安全なの?」
「避難所のマークだけ確認すればいい?」
と思ったことはありませんか?
ハザードマップを見るときに、全部を理解しようとする必要はありません。
まず確認してほしいのは、
①自宅には、どんな災害の危険があるか
②どの程度の被害が想定されているか
③どこへ避難するか
④そこまで安全に行けるか
の4つです。
ハザードマップは、「避難所を探す地図」ではなく、自分のいる場所にどんな危険があり、その危険からどう逃げるのかを考えるための地図です。
この記事では、初めて見る人でも分かるように、ハザードマップの見方を順番に整理します。
ハザードマップとは?
ハザードマップは、
災害が起きたときに、どの場所でどのような危険が想定されるのか
を地図上に示したものです。
代表的なものには、
- 洪水
- 内水氾濫
- 土砂災害
- 津波
- 高潮
などがあります。
国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」では、住所から洪水・内水・土砂災害・高潮・津波などの災害リスクを重ねて確認できます。自治体が公開しているハザードマップを探す「わがまちハザードマップ」も利用できます。
2026年7月からは、「重ねるハザードマップ」から地理院地図に掲載されている指定避難所も確認できるようになっています。
まずは自宅を探す
ハザードマップを開いたら、最初に自宅の場所を確認してください。
スマートフォンやパソコンであれば、住所を入力して検索できます。
紙のハザードマップの場合は、自宅の位置に印を付けてみましょう。
ここで大切なのは、いきなり避難所を探さないことです。
まず、「自宅にどんな危険があるのか」を確認してみましょう。
例えば、洪水で浸水する可能性、土砂災害警戒区域・津波の浸水想定区域に入っている、高潮の影響を受ける可能性がある。といったことを見てください。
自宅の危険が分からなければ、何から逃げるのか、どこへ逃げればいいのかを決めることが出来ません。

洪水ハザードマップは「色」だけでなく浸水深を見る
洪水ハザードマップでは、浸水が想定される地域が色分けされています。
ただ、「自宅に色が付いている」だけ見てもそれでは十分ではありません。
どのくらいの深さまで浸水する想定なのかを確認してください。
0.5m、3m、5m。では、同じ「浸水区域」でも状況が大きく違います。
浸水深3mともなると、一般的な住宅では1階部分が大きく浸水する可能性があります。
さらに深くなれば、2階まで浸水する可能性だって考えなければなりません。
ただし、ハザードマップの色や区分は自治体・地図によって異なる場合があります。
色だけを見るのではなく、必ず凡例で自宅の浸水深を確認してください。
「浸水深」だけでなく「浸水継続時間」も確認する
洪水では、どのくらい深く浸かるかだけでなく、どのくらい長く水が引かない可能性があるかも重要です。
自宅の上階へ避難できたとしても、周囲が長時間浸水すれば、水や食料などの備えが必要になってきます。
「2階へ上がれば大丈夫」だけで考えておくとそこで水や食料などがない状態になります。
なのでそこに何時間・何日留まる可能性があるのかも確認しておきましょう。
ハザードマップポータルでは、洪水の浸水継続時間に関する情報も公開されています。
土砂災害では「黄色・赤」の意味を確認する
土砂災害のハザードマップでは、土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域などが表示されています。
一般的には、
土砂災害警戒区域は、土砂災害が発生した場合に生命や身体へ危害が生じるおそれがある区域。
土砂災害特別警戒区域は、建物の損壊などによって、より著しい危害が生じるおそれがある区域です。
ただし、区域の外なら絶対に安全という意味ではありません。
大雨が続いているときは、地図上の線だけでなく、崖や急な斜面など実施あの周辺環境も確認しておく必要があります。
大雨後の土砂災害については、別の記事でも詳しく解説しています。
雨が止んでも土砂災害は起きる?土砂崩れの前兆と大雨後の注意点
ハザードマップで色が付いていなければ安全?
ここは特に大切です。
色が付いていない=災害が起こらない、ではありません。
ハザードマップは、一定の条件や想定をもとに作られています。
想定を超える雨や地形の影響など、地図上に色が付いていない場所でも災害は起こる可能性があります。
周囲より低い土地や崖の近くなどでは、必要に応じて避難することが重要です。
つまりハザードマップは、「ここなら絶対安全」と保証する地図ではありません。
自分の地域にある危険を知るための、大切な判断材料の一つです。

避難所のマークを見つけて終わりにしない
ハザードマップを見ると、学校や公民館などの避難場所・避難所が表示されています。
そこで、「一番近い学校へ行けばいい」と考えたくなります。
しかし、大切なのは、その場所が、自分が逃げようとしている災害に対応しているかです。
地震では利用できる。しかし津波では別の高台へ行く必要がある。
洪水では利用できても、土砂災害では別の場所を選ぶ。という場合があります。
「避難場所」と「避難所」の役割も異なります。
そのため、施設名だけではなく、何の災害に対応している場所なのかまで確認してください。

避難所は小学校だと思っている人は多いのですが、全ての災害に対応しているわけではないのは今一度知っておいて、確認をしてください。
自宅だけでなく「避難経路」にも色が付いていないか見る
自宅のリスクを確認したら、次に避難経路を見てください。
ここは見落とされやすいところです。
例えば、自宅から避難所までの間に、危険な箇所がある場合があります。
避難先が安全でも、そこまでの道が危険なら、実際には使えない可能性があります。
地図上でルートを一本確認するだけではなく、できれば別の経路も考えておきましょう。



安全なルートで行けるのか。いつも通ってる道も災害時は危険なルートになる可能性があります。違う道でも行けるかどうか。いけない場合は他の避難先に行くのかといったことも考えておきましょう。
大雨時の道路冠水についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
避難経路は、実際に一度歩いてみる
地図では問題がないように見えても、実際に歩くと気づくことがあります。
- 道が狭い。
- 夜は暗い。
- 用水路がある。
- ブロック塀が続いている。
- 階段が多い。
- 坂が急。
- 交通量が多い。
- ベビーカーでは通りにくい。
- 高齢者には時間がかかる。
こうしたことは、地図だけでは分かりません。
天気のよい日にでいいので。自宅から避難先まで歩いてみてください。
避難訓練というほど大がかりなことをしなくても構いません。
実際に歩くだけでも、「この道は使わない方がいい」「こちらの方が安全」という発見があります。


ハザードマップと「今の危険度」は別
もう一つ、混同しないでほしいことがあります。
ハザードマップは、平常時に地域の災害リスクを確認するための地図です。
今まさに、川が氾濫しそうや土砂災害の危険が高まっているかということは当然判断できるものではありません。
大雨が降っているときには、ハザードマップだけでなく、自治体の避難情報や気象情報など、現在の情報も確認してください。
つまり、ハザードマップで「自宅の危険」を知り、災害時の情報で「今動くか」を判断するという使い分けを行なってください。



ハザードマップで安心するのではなく、しっかり情報を取って命を守る最善の方法を取ることが大事です。
防災気象情報や警戒レベルの見方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
地震の危険は自治体のマップも確認する
国土地理院の「重ねるハザードマップ」では、洪水・内水・土砂災害・高潮・津波などをまとめて確認できます。
一方で、地震の揺れやすさや液状化、地域ごとの地震被害想定などについては、自治体が独自の防災マップや地震ハザードマップを公開している場合があります。
そのため、「国のハザードマップを見たからすべて確認できた」とは考えず、自分の市区町村の防災マップも一度確認しておきましょう。



その地域特有のリスクというものもあります。配ってくれてるところも多いので、眠らせずに見るようにしてください。
ハザードマップを見るなら、この5つを確認
最後に、初めて見る場合は次の5つだけ確認してください。
1.自宅の場所
まず自宅を見つけます。
2.災害の種類
- 洪水。
- 土砂災害。
- 津波。
- 高潮。
- 内水氾濫。
など、自宅周辺にどのようなリスクがあるか確認しましょう。
3.危険の程度
- 浸水深。
- 土砂災害警戒区域。
- 津波の浸水想定。
など、凡例を見ながら確認してください。
4.避難先
その災害に対応した避難場所を確認します。
単に一番近い施設を選ぶのではなく、何の災害に対応しているかまで見ましょう。
5.避難経路
自宅から避難先までの道路に、
- 川。
- 崖。
- 低い場所。
- アンダーパス。
などがないか確認してください。可能なら、第2のルートも考えておきましょう。
この記事を見て少しだけでいいので、まず確認してみる
「時間があるときにちゃんとやろう」と思うと、ハザードマップはなかなか開かないものです。
この記事を見たことをきっかけにまず5分だけでも構いません。
- ハザードマップポータルサイトを開く。
- 住所を入れる。
- 自宅を確認する。
- 洪水と土砂災害を表示する。
- 避難先を一つ確認する。
ここまでなら、それほど時間はかかりません。なんか見にくいなと思うかもしれませんが見てみることが大事です。
そしてこれをきっかけに
- 津波。
- 高潮。
- 避難経路。
- 別の避難先。
- 家族の職場や学校。
まで広げていきましょう。
完璧な防災計画を作る必要なんてありません。
「自分の家には、何の危険があるのか」を知るところから始めてください。
よくある質問
Q.ハザードマップで自宅に色が付いていなければ安全ですか?
安全とは言い切れません。
ハザードマップは一定の想定に基づいて作られており、色が付いていない場所でも災害が発生する可能性があります。
周囲より低い土地、崖の近く、小さな河川の近くなど、実際の地形や周辺環境も確認してください。
Q.ハザードマップの色は全国共通ですか?
地図や自治体によって凡例が異なる場合があります。
色だけで判断せず、そのハザードマップに掲載されている凡例と数字を確認してください。
Q.避難所の場所だけ確認すればいいですか?
避難先だけでなく、何の災害に対応した場所なのか、そこまでの避難経路が安全かも確認してください。
近い場所が必ずしも安全な避難先とは限りません。
Q.ハザードマップは災害が起きてから見ればいいですか?
できれば平常時に確認しておきましょう。
大雨や地震の後では、停電や通信障害、道路の冠水などにより、落ち着いて調べられない可能性があります。
Q.引っ越しを考えているときにも確認した方がいいですか?
確認する価値があります。
洪水、土砂災害、津波、高潮などのリスクを事前に知っておけば、住む場所だけでなく、避難方法や必要な備えまで考えやすくなります。
ただし、ハザードマップだけで住宅の安全性すべてを判断するものではありません。
【まとめ】色を見るのではなく「どう逃げるか」まで考える
ハザードマップを開いたら、まず自宅を探してください。
次に、どんな災害があるのか、どの程度の被害があるのか、どこへ逃げるのか、そこまで安全に行けるのかを確認しましょう。
特に覚えておきたいのは、色が付いていない=安全ではないということです。
そして、避難所の場所を見つけただけでも、防災は終わりにしないでください。
自宅からその場所まで、本当に安全に行けるでしょうか。
災害の種類が変わっても、同じ場所へ行けばよいでしょうか。
ハザードマップは、「危険な場所を色で見る地図」ではなく、「自分がどう行動するかを考えるための地図」です。
まずは自宅の住所を入れて、「自分の家には何の災害リスクがあるのか」を確認するところから始めてみてください。
参考資料
国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
国土地理院「ハザードマップポータルサイト 更新情報」
内閣府「避難行動判定フロー」
大阪府「ハザードマップの見方」









