自治会・町内会の防災レベルを見極める〜参加者を増やし、地域で動ける備えにする考え方〜

自治会や町内会で防災に取り組もうとすると、地域によってかなり状況が違います。

まだ防災活動をほとんど始められていない地域もあります。
防災倉庫や備蓄はあるけれど、中身を知っている人が限られている地域もあります。
毎年防災訓練をしているものの、参加する人がいつも同じという地域もあります。
一部の防災意識が高い人や役員だけが頑張っている地域もあります。

どの状態が悪いという話ではありません。

大切なのは、今の地域がどの段階にいるのかを見極めることです。

まだ防災に関心が薄い人が多い地域に、いきなり安否確認や要配慮者支援、支援の優先順位の話をしても、地域全体には広がりにくいことがあります。

一方で、何年も防災活動をしている地域が、毎年同じ訓練だけを続けていても、地域で実際に動ける力は上がりにくくなります。

自治会・町内会の防災で大切なのは、継続です。
参加者を少しずつ増やしながら、防災倉庫、備蓄、安否確認、要配慮者支援を、実際に使える備えにしていくことです。

多くの人が、命を守るためには一気にやることが大事だと思っています。
実際その方がいいです。

ただこの一気にやるができなくて、結局何もできていないや意味のない備えをしてしまっているパターンは非常に多くあります。

だからこ1人でも助かる人を増やすためにレベルを把握し、地域にあった防災を体制を整えて欲しい。

この記事では、自治会・町内会の防災レベルを3段階で整理し、これから始める地域も、すでに活動している地域も、次に何を整えるべきかを考えやすくする方法を紹介します。

目次

自治会・町内会の防災は、地域によって現在地が違う

地域防災の話をすると、「うちはまだそこまでできていない」と感じる地域もあれば、「一応やっているけれど、これで十分なのか分からない」と感じる地域もあります。

実際、地域防災にはかなり幅があります。

  • 防災訓練をしていない地域
  • 防災倉庫はあるが、鍵や中身の把握が一部の人に限られている地域
  • 毎年訓練はしているが、参加者が固定化している地域
  • 役員交代のたびに引き継ぎが弱くなる地域
  • 要配慮者支援まで考えたいが、そこまで手が回っていない地域

だからこそ、他の地域と比べて焦るよりも、今の自分たちの現在地を知ることが大切です。

防災は、やっているか、やっていないかの二択ではありません。
少しずつ段階を上げていくものです。

「まだ何もできていない」地域には、まず始める段階があります。
「ある程度やっている」地域には、使える形に進める段階があります。
「長く続けている」地域には、支え合える地域防災へ高める段階があります。

自治会・町内会の防災レベルは3段階で考える

自治会・町内会の防災レベルは、次の3段階で考えると整理しやすくなります。

レベル状態地域でよくある状況次に必要なこと
レベル1まず始める段階防災活動が少ない、参加者が少ない、防災倉庫や備蓄の状況も十分に共有されていない防災を知ってもらい、参加しやすいきっかけを作る
レベル2地域の備えを動かす段階防災訓練、防災倉庫、備蓄、安否確認、役割分担を実際に使える形にしている想定外の場面でも動けるようにする
レベル3状況に合わせて支え合える段階訓練に来ていない住民や要配慮者も含め、優先順位を決めて地域で動ける振り返りと改善を続ける

ここで大切なのは、「レベル1だからだめ」「レベル3なら完璧」という考え方ではありません。

今どの段階にいるのかを知り、
次にどこを上げるべきかを見つけること。
それが、地域防災を前に進めるうえで大切です。

レベル1:まず始める段階

レベル1は、防災活動をこれから始める、または、まだ十分に広がっていない地域の段階です。

たとえば、次のような状態が当てはまります。

  • 防災訓練をしていない、または参加者が少ない
  • 防災倉庫や備蓄の存在を住民があまり知らない
  • 家庭備蓄の必要性が十分に伝わっていない
  • 安否確認の方法が決まっていない
  • 防災が役員任せになりやすい
  • 「防災は大事だけれど、何から始めればいいか分からない」状態になっている

この段階で大切なのは、いきなり完璧な体制を作ろうとしないことです。

まずは、防災を知ってもらうこと。
参加しやすいきっかけを作ること。
難しい会議よりも、見て分かる、体験して分かる内容にすること。

たとえば、

  • 防災倉庫を開けて見てもらう
  • 簡易トイレを体験してもらう
  • 家庭備蓄の話を短く分かりやすく伝える
  • 防災イベント形式で参加しやすくする

こうした小さな入り口が、レベル1ではとても大切です。

地域防災は、最初から意識の高い人だけで進めるものではありません。
まずは、地域の人に「防災は自分にも関係がある」と感じてもらうことが第一歩です。

地域の現在地に合わない内容は広がりにくい

地域防災で難しいのは、同じ地域の中でも防災への関心や理解に差があることです。

防災に関心が高い人にとっては、安否確認、要配慮者支援、在宅避難、支援の優先順位といった話はとても大切です。

ただ、まだ防災にあまり関心がない人にとっては、いきなりその話をされても、自分ごとになりにくい場合があります。

地域防災は、勉強と少し似ています。

基礎が共有されていない状態で、次の段階の話をしても、地域全体には広がりにくいことがあります。

まずは、防災倉庫に何が入っているかを知る。
簡易トイレを見てみる。
自宅に何が足りないかを確認する。
避難場所や安否確認の方法を知る。

こうした土台ができてくると、次に、要配慮者支援や支援の優先順位、在宅避難者への対応といった話も伝わりやすくなります。

地域防災は、一度に全部を伝えるより、今の段階に合った内容を積み上げていく方が広がりやすくなります。

一方で、すでに何年か活動している地域が、ずっと入口だけで止まっていても、防災レベルは上がりにくくなります。

今の地域がどの段階にいるのかを見て、次に上げるべき内容を選ぶことが大切です。

レベル2:地域の備えを動かす段階

レベル2は、防災訓練や防災倉庫、備蓄、安否確認など、地域の備えを実際に動かせる形にしていく段階です。

この段階で大切なのは、「ある」ことよりも「使える」ことです。

たとえば、次のような点を確認していきます。

  • 防災倉庫を開けられるか
  • 鍵を複数人で管理しているか
  • 発電機を使える人がいるか
  • 簡易トイレを組み立てたことがあるか
  • 住宅地図や安否確認表を使えるか
  • 備蓄品の配置や中身を把握しているか
  • 役員交代後も引き継がれているか
  • 毎年同じ人だけで終わっていないか

ここでよくあるのは、防災倉庫や資機材はあるのに、実際に使ったことがない状態です。

防災倉庫があることは大切です。
ただし、鍵を開けられる人が限られている、発電機を使える人がいない、簡易トイレを組み立てたことがない状態では、災害時に使える備えとは言えません。

何年も活動している地域ほど、次に必要なのは、参加している人を増やすことだけでなく、実際に動ける人を増やしていくことです。

その防災倉庫は、災害時に本当に使えるか

自治会・町内会の防災では、防災倉庫の存在が大きな意味を持ちます。
ただ、防災倉庫は「ある」だけでは十分ではありません。

見直したいのは、たとえば次のような点です。

  • 鍵はすぐ開けられるか
  • 鍵を持っている人が一人だけになっていないか
  • 中身は整理されているか
  • 何がどこにあるか分かるか
  • 点検は定期的にできているか
  • 発電機、ライト、簡易トイレなどを実際に使ったことがあるか
  • 役員交代後も使い方が引き継がれているか

防災倉庫は、災害時に開けて、取り出して、使えてこそ意味があります。

物が入っているだけでは、地域は動けません。
必要なのは、誰が使っても分かる状態、複数人で動かせる状態にしておくことです。

レベル3:状況に合わせて支え合える段階

レベル3は、訓練に来ている人だけでなく、地域全体を見ながら、状況に合わせて支え合える段階です。

実際の災害では、訓練に参加していない住民もいます。
防災にあまり関心を持っていなかった人も困ります。
高齢者、障がいのある人、乳幼児がいる家庭、在宅避難者など、それぞれ事情も違います。

その時に必要なのは、

  • 誰を優先して確認するか
  • 要配慮者への支援をどう考えるか
  • 防災倉庫の物資をどう配るか
  • 誰が情報をまとめるか
  • 役員が不在でも誰が動くか
  • 住民同士の混乱や行き違いをどう減らすか

といった視点です。

レベル3は、特別な地域だけの話ではありません。
何年も活動してきた地域ほど、次はここを目指したい段階です。

防災意識が高い人だけが動ける地域防災には限界があります。
災害時は、その人たちだけで地域全体を支えることは難しいからです。

だからこそ、レベル3では、訓練に来ていない人も含めて、地域としてどう支え合うかを考えていく必要があります。

安否確認と支援の優先順位まで考えておく

地域防災では、「助け合いが大事」という言葉はよく聞きます。
その通りです。

ただし、実際の災害時には、すべての人を同じタイミングで支援できるとは限りません。

  • 高齢者
  • 障がいのある人
  • 一人暮らしの人
  • 乳幼児がいる家庭
  • 在宅避難をしている人

こうした人たちがいる中で、誰を先に確認するのか、どこまで地域で支えるのかを考えておかないと、災害時に迷いやすくなりまし、二次被害の可能性も高くなります。

また、安否確認も「名簿がある」だけでは足りません。
誰が確認するのか、どう集約するのか、どこに情報をまとめるのかまで考えておく必要があります。

大切なのは、きれいな計画を作ることだけではありません。
実際に地域で動ける形にしておくことです。

訓練に来ていない人も含めて地域防災を考える

地域防災が難しいのは、災害時に困るのが、いつも訓練に来ている人だけではないことです。

防災訓練に参加していない人。
地域活動にあまり関わっていない人。
防災に関心が薄かった人。
そうした人も、災害時には同じ地域の一員として支援の対象になります。

だからこそ、防災訓練に来る人だけを前提にしていると、災害時には足りません。

もちろん、すべてを一度に解決することは難しいです。
それでも、

  • 掲示板や回覧板で知らせる
  • 防災イベントで関心を広げる
  • 家庭備蓄の話も一緒にする
  • 顔の見える関係を増やす

といった積み重ねで、地域全体の防災レベルは少しずつ上がっていきます。

地域の防災レベルを上げるには、続けやすい仕組みが必要

地域防災は、一度イベントをして終わりではありません。
毎年の積み重ねが大切です。

ただし、役員や一部の熱心な人だけが頑張る形では、どうしても続きにくくなります。

だからこそ、

  • 誰でも参加しやすい形にする
  • 一部の人に負担を集中させない
  • 倉庫管理や点検を分担する
  • 毎年少しずつ内容を進める
  • 役員交代後も引き継げる形にする

といった、続けやすい仕組みが必要です。

地域防災は、一気に完成するものではありません。
現在地を知り、できるところから始めて、少しずつレベルを上げていくことが大切です。

命のかかる災害の訓練だから、厳しさが必要だと言うご意見はよく聞きます。
それも正解ですが、災害が起こった時の最大の目的は1人でも多くの人が助かることです。

なのでまず続けられる、参加しようと思える。と言うのを忘れないでください。

まとめ

自治会・町内会の防災は、地域によって現在地が違います。

まだこれから始める地域もあります。
防災訓練や防災倉庫はあるけれど、実際に動ける状態までは進んでいない地域もあります。
何年も活動してきたからこそ、次の段階へ進みたい地域もあります。

大切なのは、今の防災レベルを見極めることです。

レベル1なら、まず知ってもらい、参加しやすいきっかけを作る。
レベル2なら、防災倉庫、備蓄、安否確認を実際に使える形にする。
レベル3なら、訓練に来ていない人も含めて、地域で支え合える形へ進める。

地域防災は、やっているか、やっていないかではなく、
どこまで実際に動けるかで変わってきます。

参加者を増やしながら、地域で使える備えへ。
そして、防災意識が高い人だけでなく、地域全体で少しずつ支え合える形へ。

その積み重ねが、自治会・町内会の防災レベルを上げていくことにつながります。

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よくあるご質問

Q. 自治会・町内会の防災レベルは何を見れば分かりますか?

A. 防災訓練の有無だけでなく、防災倉庫、備蓄、安否確認、役割分担、要配慮者支援などが、実際に使える形になっているかを見ると分かりやすくなります。

Q. 防災訓練に人が集まらない場合は何から始めればよいですか?

A. いきなり多くの内容を詰め込まず、防災倉庫の見学、簡易トイレ体験、家庭備蓄の話など、地域の現在地に合った参加しやすいテーマから始めると入りやすくなります。

Q. 防災倉庫があれば地域防災は十分ですか?

A. 十分とは限りません。鍵を開けられる人が限られていないか、資機材を使える人がいるか、点検や引き継ぎができているかまで確認することが大切です。

Q. 高齢者や要配慮者への支援はどう考えればよいですか?

A. まずは地域の実情を把握し、誰を優先して確認するのか、どこまで地域で支えるのかを話し合っておくことが大切です。名簿があるだけではなく、実際に動ける形にする必要があります。

Q. 地域の防災レベルを上げるには何が必要ですか?

A. 現在地を知ること、参加しやすいきっかけを作ること、防災倉庫や安否確認を使える形にすること、そして毎年の振り返りと改善を続けることが大切です。

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