保育園の水害対策は「園の条件を知ること」から始める
保育園の水害対策では、まず自園がどのような場所にあるのかを確認することが大切です。
同じ地域でも、川に近い園、低い土地にある園、坂の上にある園、1階保育室が中心の園では、必要な備えが変わります。
水害は、雨が強くなってから初めて考えると判断が難しくなりやすい災害です。
だからこそ、平常時に「どこまで水が来る想定か」「どこへ避難するか」「誰が何を見て判断するか」を整理しておく必要があります。
この記事では、保育園の水害対策で最初に確認したい基本ポイントを、現場で見直しやすい形で整理します。
まず確認したい6つの基本ポイント

1. ハザードマップで浸水想定を確認する
最初に確認したいのは、自治体などが公開しているハザードマップです。
水害対策では「園の周辺で何が起こり得るか」を知ることが出発点になります。
- 園の敷地や周辺道路が浸水想定区域に入っているか
- 想定される浸水の深さはどの程度か
- 近くの川、用水路、低い道路、アンダーパスがどこにあるか
- 園から指定避難所までの経路に浸水しやすい場所がないか
- 保護者のお迎え動線にも浸水しやすい場所がないか
ハザードマップは、園長だけが確認するのではなく、職員会議や防災研修の中で一緒に見ておくと、園内の共通認識を作りやすくなります。
2. 園外避難と垂直避難の考え方を整理する
水害時の避難は、必ずしも「外へ出ること」だけではありません。
保育園の場合、小さな子どもがたくさんいる中で、外に出ることを前提に決めているとうまくいきません。
状況によって、園外避難が必要な場合もあれば、建物内で上階へ移動する垂直避難を検討する場合もあります。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 園外避難先 | どこへ向かうか、距離、移動時間、経路の安全性 |
| 垂直避難場所 | 上階や高い場所の有無、人数を収容できるか |
| 乳児の移動 | 抱っこ、避難車、階段移動の方法 |
| 配慮が必要な子 | 個別の支援、職員配置、持ち出し物 |
| 雨天時の移動 | レインカバー、靴、職員の動きやすさ |
どちらがよいかを単純に決めるのではなく、自園の建物、周辺道路、子どもの年齢、職員体制に合わせて、事前に選択肢を整理しておくことが重要です。
雨の中で避難訓練をしているところはほとんどない状況で、園外に出る選択ができるでしょうか?
3. 判断に使う情報を決めておく
大雨のときは、気象情報、自治体からの避難情報、川の水位情報、周辺道路の状況など、多くの情報が入ってきます。
情報が多いほど、誰が何を見るのかが曖昧になりやすくなります。
事前に確認しておきたいのは、次のような点です。
- 気象警報・注意報を誰が確認するか
- 自治体の避難情報をどの方法で受け取るか
- 園長・主任が不在のときの判断ルート
- 園外避難を検討し始める目安
- 保護者連絡を始めるタイミング
- 開園前、保育中、降園前で判断が変わる点
「この情報が出たら必ずこの行動」と細かく決めきるよりも、確認する情報、相談する相手、判断を共有する流れを明確にしておくと、現場で使いやすくなります。
4. 保護者への連絡文を事前に準備する
水害時は、保護者も通勤先や自宅、移動中など、さまざまな場所にいます。
園からの連絡は、短く、分かりやすく、誤解が少ない形にしておくことが大切です。
事前に準備しておくとよい内容は、次のとおりです。
- 園の現在の状況
- 子どもたちの安全確認状況
- 園内待機、園外避難、垂直避難などの対応
- お迎えをお願いする場合の注意点
- 連絡の次回更新予定
- 電話がつながりにくい場合の連絡手段
保護者連絡は、長文で細かく説明するよりも、必要な情報を順番に伝えるほうが伝わりやすくなります。
平常時に文例を作っておくと、急な対応時にも落ち着いて発信しやすくなります。
水害は地震と違って、連絡が通じないということは少ないので、きちんと決めておくことが重要です。
5.備蓄と持ち出し品は「水害時に使えるか」で見直す
備蓄品は、地震や火災だけでなく、水害時にも使えるかを確認します。
水害では、園内待機が長くなる場合や、上階への移動が必要になる場合があります。
確認したい備蓄・持ち出し品
- 飲料水、食料、ミルク、アレルギー対応品
- おむつ、おしりふき、着替え、タオル
- 体温調整に使うもの
- 懐中電灯、モバイルバッテリー、ラジオ
- 園児名簿、緊急連絡先、引き渡し記録
- 常備薬や個別配慮が必要なもの
- 雨具、ビニール袋、防水ケース
備蓄は「あるかどうか」だけでなく、「どこに置いてあるか」「浸水しにくい場所か」「上階へ持ち上げやすいか」まで確認しておくと実務につながります。
6.職員間で共有し、訓練後に見直す
水害対策は、資料を作って終わりにせず、職員間で共有し、訓練や振り返りにつなげることが大切です。
保育園では、避難及び消火に対する訓練を少なくとも毎月一回行う必要があります。
毎月の訓練や園内チェックの中で、水害を想定した確認も少しずつ取り入れると、無理なく見直しやすくなります。
共有・振り返りで見るポイント
- 職員がハザードマップの内容を理解しているか
- 園外避難先と垂直避難場所を説明できるか
- 乳児や配慮が必要な子の移動方法が現実的か
- 保護者連絡の担当と文例が共有されているか
- 備蓄や持ち出し品の場所が分かりやすいか
- 訓練後の気づきが次回の改善に残っているか
大切なのは、できていない点を責めることではありません。「次に少し直すこと」を記録し、職員間で共有していくことで、園の実情に合った備えに近づけていくことです。
まとめ
保育園の水害対策でまず確認したい基本ポイントは、次の6つです。
- ハザードマップで浸水想定を確認する
- 園外避難と垂直避難の考え方を整理する
- 判断に使う情報を決めておく
- 保護者への連絡文を事前に準備する
- 備蓄と持ち出し品を水害時に使えるか見直す
- 職員間で共有し、訓練後に改善へつなげる
一度にすべてを整えようとしなくても大丈夫です。
まずはハザードマップを開き、自園の周辺で確認が必要な場所を職員と一緒に見てみるところから始めてみてください。
水害対策は、園の立地、建物の階数、子どもの年齢、職員体制、周辺道路の状況によって見直すポイントが変わります。
基本を押さえたうえで、自園ではどの判断や動きが必要かを整理しておくことが大切です。
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よくある質問
Q. 水害対策は何から始めるとよいですか?
A. まずはハザードマップで、園の敷地、周辺道路、避難先までの経路を確認することから始めると整理しやすくなります。そのうえで、園外避難と垂直避難の選択肢を確認します。
Q. 園外避難と垂直避難は、どちらを決めておけばよいですか?
A. 園の立地や建物、浸水想定、周辺道路の状況によって考え方が変わります。どちらか一方に固定するよりも、平常時にそれぞれの条件と注意点を整理しておくことが大切です。
Q. 保護者連絡はどのように準備すればよいですか?
A. 「園の状況」「子どもの安全確認」「園の対応」「お迎え時の注意」「次回連絡予定」を短く伝えられる文例を準備しておくと、急な大雨時にも発信しやすくなります。

