地震マニュアルは「ある」だけでは現場で使いにくい
保育園・こども園では、地震に備えたマニュアルや避難手順を整えている園が多くあります。
一方で、実際の現場では次のような悩みが起きやすくなります。
- マニュアルのページ数が多く、発生直後に確認しにくい
- 職員ごとの役割が分かりにくい
- 乳児・幼児・配慮が必要な子どもへの対応が一文だけになっている
- 園庭避難、建物内待機、二次避難の判断が曖昧になっている
- 訓練後の気づきが、次のマニュアル更新につながりにくい
地震マニュアルは、きれいに整った書類であることよりも、揺れた直後に職員が迷わず確認でき、毎月の避難訓練で見直せる形になっていることが大切です。
この記事では、保育園の地震マニュアルを「現場で使える形」にするための見直しポイントを整理します。
現場で使える地震マニュアルに必要な5つの要素
地震マニュアルを実務で使いやすくするには、長い文章を増やすよりも、職員がすぐ確認できる単位に分けることが効果的です。
特に見直したいのは、次の5つです。
| 要素 | 現場での役割 |
|---|---|
| 初動カード | 揺れた直後に最初に行うことを確認する |
| 役割分担表 | 誰が何を担当するかを明確にする |
| 場面別判断 | 園庭避難・室内待機・二次避難などを整理する |
| 連絡・記録様式 | 保護者連絡や園内共有を残しやすくする |
| 訓練後の更新欄 | 気づきを次の改善につなげる |
マニュアル本文は詳細版として残しつつ、現場で手に取る資料は1枚ものやチェック形式に分けると、訓練でも使いやすくなります。

1. 発生直後に見る「初動カード」を作る
地震発生直後は、長い文章を読む余裕がありません。
そのため、マニュアルの冒頭とは別に、職員がすぐ確認できる「初動カード」を作っておくと実用性が上がります。
初動カードに入れる内容は、細かくしすぎず、まずは次のような項目に絞ります。
- 子どもの安全確保
- 職員自身の安全確認
- 室内の危険物や転倒物の確認
- 出入口・避難経路の確認
- 園内の人数確認
- 園長・主任への報告
- 次の行動判断までの待機場所
ポイントは、「誰が読んでも同じ順番で動ける」ことです。
例えば「安全確認をする」だけでは、人によって見る場所が変わります。
「子ども、職員、室内、避難経路、人数の順に確認する」と書くと、行動に移しやすくなります。
2. 役割分担は担当名ではなく「役割名」で整理する
地震マニュアルでは、役割分担が重要です。
ただし、特定の職員名だけで作ると、その職員が休みの日や早番・遅番の日に使いにくくなります。
おすすめは、役割名で整理する方法です。
| 役割 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 全体指揮 | 園全体の状況確認、次の行動判断 |
| 子ども誘導 | クラスごとの安全確保、移動補助 |
| 人数確認 | 園児・職員の人数確認、報告 |
| 応急対応 | けが、体調不良、配慮が必要な子どもの確認 |
| 連絡担当 | 保護者連絡、法人本部や関係先への共有 |
| 記録担当 | 時刻、判断、連絡内容、気づきの記録 |
そのうえで、勤務体制に合わせて「今日の担当」を決められる欄を作ります。
毎日の朝礼や訓練前に短く確認できると、マニュアルが紙の中だけでなく、日々の運用に入りやすくなります。
3. 場面別の判断を「迷いやすい場面」から整理する
地震対応では、すべてを一つの流れにしようとすると、かえって現場で迷うことがあります。
特に保育園では、子どもの年齢、建物の状況、天候、周辺環境によって判断が変わります。
マニュアルでは、迷いやすい場面を先に整理しておくと実用的です。
- 揺れがおさまった後、すぐ園庭へ出るか
- 室内で待機する場合、どの部屋を使うか
- 乳児クラスは誰がどの方法で移動を補助するか
- 配慮が必要な子どもには、誰がつくか
- 園外避難が必要な場合、どのルートを使うか
- 保護者への連絡は、どのタイミングで行うか
ここで大切なのは、「必ずこうする」と固定しすぎることではありません。
判断材料を整理し、園長・主任・現場職員が同じ前提で判断できるようにすることです。
決めておかないと決断できないですが、固定しすぎると想定外に対応できなくなります。
4. 連絡と記録は、発生時に書ける形式にする
地震対応では、保護者連絡や園内共有の内容を残すことも大切です。
ただし、発生時に長い文章を書くのは現実的ではありません。
記録様式は、チェックと短いメモで残せる形にしておくと使いやすくなります。
例えば、次のような欄を用意します。
- 発生時刻
- 揺れの状況
- 園児・職員の人数確認
- けが・体調不良の有無
- 建物や設備の確認
- 避難・待機の判断
- 保護者連絡の実施状況
- 次回見直す点
記録は、責任追及のためではなく、次に同じような場面があったときに園として判断しやすくするための材料です。
避難訓練の記録や振り返りを残し、次回の改善につなげたい場合は、ほいくレスキューで訓練履歴を管理する方法もあります。

5. 毎月の避難訓練で「更新する前提」にする
保育園では、避難及び消火に対する訓練を少なくとも毎月一回行う必要があります。
毎月行う避難訓練だからこそ、地震マニュアルも「一度作って終わり」ではなく、訓練後に少しずつ更新する前提にしておくと現場に合いやすくなります。
訓練後は、次のような観点で振り返ります。
- 初動カードの順番は分かりやすかったか
- 役割分担に抜けや重なりはなかったか
- 乳児・幼児の移動に無理はなかったか
- 人数確認の報告ルートは分かりやすかったか
- 園庭避難や室内待機の判断に迷いはなかったか
- 保護者連絡の文面や手順に改善点はあったか
- 次回までにマニュアルへ反映することは何か
改善点が出たら、マニュアル全体を書き直す必要はありません。
まずは初動カード、役割表、連絡様式など、現場で使う部分から一つずつ直すだけでも十分です。
地震マニュアル見直しの簡易チェックリスト
最後に、園内で確認しやすいチェックリストとして整理します。
- 地震発生直後に見る1枚資料がある
- 初動の順番が具体的に書かれている
- 職員名だけでなく役割名で整理されている
- 乳児・幼児・配慮が必要な子どもの対応が分かる
- 園庭避難、室内待機、二次避難の判断材料がある
- 保護者連絡のタイミングと担当が分かる
- 記録様式がチェック形式で使いやすい
- 訓練後に更新する欄がある
- 毎月の避難訓練の振り返りが次回に反映されている
全部を一度に整える必要はありません。
まずは「揺れた直後に職員が何を見るか」から見直すと、マニュアルが現場で使いやすくなります。
一気にやることより継続して見直す方が大切です。無理なく整えていきましょう。
まとめ
保育園の地震マニュアルは、整った書類として保管するだけでなく、発生直後・訓練時・振り返り時に使える形にすることで、現場に根づきやすくなります。
初動カード、役割分担表、場面別判断、連絡・記録様式、訓練後の更新欄を分けて整えると、職員が確認しやすく、園全体で改善を続けやすくなります。
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よくあるご質問
地震マニュアルは何ページくらいがよいですか?
詳細版は園の状況に合わせて必要な内容を入れて構いません。ただし、発生直後に見る資料は1枚で確認できる形がおすすめです。詳細版と初動カードを分けると使いやすくなります。
職員名を入れた役割表は作らないほうがよいですか?
職員名を入れること自体は問題ありません。ただし、休みや勤務時間の違いがあるため、まず役割名で整理し、その日の担当を決められる形にしておくと運用しやすくなります。
マニュアル更新はどのタイミングで行うとよいですか?
毎月の避難訓練後に、気づいた点を短く記録し、必要な部分だけ更新する方法が続けやすいです。大きな改訂だけでなく、小さな修正を積み重ねることが大切です。

