施設機能強化推進費加算はいつ何を準備する?保育園の書類チェックリストと自治体確認の流れ

施設機能強化推進費加算を使うときは、購入や研修の実施後になってから書類を探し始めると、園の事務負担が大きくなります。

ただし、最初から大量の書類を作る必要はありません。

基本は、次の流れです。

  1. 園の防災上の課題と使いたい内容を整理する
  2. 商品資料や研修・訓練内容、見積書を準備する
  3. 購入・契約前に自治体へ確認する
  4. 購入や実施の内容が分かる書類・記録を残す
  5. 自治体の様式に沿って報告・保管する

この記事では、施設機能強化推進費加算を検討し始めてから、購入、研修・訓練の実施、実績報告まで、どの段階で何を準備すればよいかを時系列で整理します。

※申請時期、必要書類、購入・契約できる時期は自治体によって異なります。実際に進める際は、施設所在地の自治体が公表している最新資料をご確認ください。

目次

まず確認したい|準備から報告までの5段階

段階園が行うこと主に準備するもの
1.検討開始園の防災上の課題と使い道を整理する課題メモ、活用案、概算金額
2.確認資料の準備購入・実施内容を具体化する商品資料、研修・訓練内容、見積書
3.自治体へ確認対象可否、購入時期、様式を確認する確認事項、自治体からの回答記録
4.購入・契約・実施経費と実施内容の記録を残す契約書、請求書、領収書、写真、実施記録
5.報告・保管自治体の様式に沿って整理する報告書、経費内訳、振り返り、関係書類一式

重要なのは、申請や報告の直前になってから書類を集めるのではなく、それぞれの段階で発生した資料をその都度保存しておくことです。

必要書類の準備状況をチェック

現在の状況を確認し、まだ準備できていない項目を把握しましょう。

□ 園の防災上の課題を整理した
□ 活用したい物品・研修・訓練を決めた
□ 概算金額を確認した
□ 商品資料または実施内容資料を準備した
□ 見積書を準備した
□ 購入・契約前に自治体へ確認した
□ 自治体からの回答を記録した
□ 契約書・請求書・領収書を保管した
□ 購入した物品や実施状況の写真を残した
□ 研修・訓練の資料と参加者を記録した
□ 実績報告に必要な様式を確認した
□ 関係書類を一つのフォルダにまとめた

すべてを一度に準備する必要はありません。
現在の段階に必要な項目から、順番に確認してください。

段階1|園の課題と活用内容を整理する

自治体へ確認する前に、まず園の中で次の3点を整理します。

  1. 何に使いたいのか
  2. なぜ園の防災対策として必要なのか
  3. おおよそいくらかかるのか

例えば、自治体へ「避難車を購入したい」とだけ伝えても、園の課題や防災上の目的は十分に伝わりません。

次のように整理すると、取組の目的が明確になります。

0歳児・1歳児の園外避難に使用する避難車が不足しており、現在の職員数でも安全に避難できる体制を整えたい。

防災研修であれば、次のように整理できます。

火災・地震時の初期対応と乳幼児の避難方法について、職員間で判断や役割分担を共有するための研修を実施したい。

避難訓練支援であれば、次のように整理できます。

毎月の訓練が同じ流れになっているため、避難経路、職員配置、避難用品の使用方法を外部の視点で確認したい。

自治体への説明では、物品名やサービス名よりも、園のどの課題を改善する取組なのかを説明できることが重要です。

段階2|自治体へ確認するための資料を準備する

園の課題と活用内容を整理したら、購入または実施したい内容を具体的に確認できる資料を準備します。

物品を購入する場合

準備するもの確認できる内容
カタログ・商品ページ商品名、仕様、用途
見積書数量、単価、合計金額
使用目的のメモ何の災害で、誰がどう使うか
保管・使用方法どこに置き、訓練でどう使うか

商品名だけでは、防災用品なのか、通常保育でも使用する物品なのか判断しにくいことがあります。

特に、次のような物品は、具体的な仕様と使用目的を説明できるようにしておきましょう。

  • 避難車
  • 発電機・予備電源
  • トランシーバー
  • 拡声器
  • ライト・投光器
  • 防災倉庫
  • タブレットなど汎用性の高い機器

防災研修・避難訓練の場合

準備するもの確認できる内容
実施内容書研修・訓練のテーマと目的
対象者職員、園児、保護者など
実施予定時期予定日または予定月
見積書講師費用、委託費、交通費など
防災との関係防災教育、避難誘導体制の改善
実施後の予定訓練、振り返り、計画の見直しなど

単に「防災研修を実施する」と書くのではなく、何を学び、園のどの体制を改善するのかを具体的にします。

例えば、次のような内容です。

職員向け防災研修として、火災・地震時の初期対応、0歳児・1歳児の避難方法、避難車や誘導ロープの使用方法を確認する。

避難訓練の計画見直し、訓練当日の確認、外部講評を行い、避難経路と職員の役割分担を改善する。

国の公定価格資料では、施設種別ごとの参考様式が公開されていますが、自治体によって追加資料や挙証資料が設定される場合があります。

段階3|購入・契約前に自治体へ確認する

商品資料、実施内容、見積書を準備したら、購入や契約を進める前に施設所在地の自治体へ確認します。

確認したいのは、対象になるかどうかだけではありません。

  • 対象経費として検討できるか
  • 申請書や報告書の様式があるか
  • 申請・提出期限はいつか
  • いつから購入・契約してよいか
  • 見積書やカタログは必要か
  • 複数の見積書が必要か
  • 写真や実施記録は必要か
  • 実施後に何を提出するか
  • ネット購入やリース契約はどのように扱うか

自治体によって、年度ごとの様式、提出期限、挙証資料が定められています。横浜市でも令和8年度用の施設種別ページと挙証資料一覧が公開されています。

確認文例

施設機能強化推進費加算について、園の防災対策として〇〇の購入・実施を検討しています。

園の課題は〇〇で、防災上の目的は〇〇です。概算金額は〇〇円となります。

対象経費として検討できるか、また購入・契約できる時期、必要書類、実績報告の方法について確認させてください。

問い合わせの際は、商品資料、実施内容書、見積書をすぐ確認できるようにしておくと、具体的な相談を進めやすくなります。

自治体へ確認した内容も記録する

電話や窓口で確認した内容は、園内で共有できるように記録しておきます。

記録する項目記録例
確認日令和8年○月○日
確認先○○市保育担当課
担当者担当者名または部署名
確認した内容物品、研修内容、購入時期、必要書類
回答対象可否、追加で必要な資料
次に行うこと見積修正、申請書提出、再確認など

自治体の回答を記録しておくと、次のような場面で確認しやすくなります。

  • 園長や担当者が交代したとき
  • 見積内容を変更するとき
  • 実績報告を作成するとき
  • 自治体から追加確認があったとき
  • 翌年度に同じ加算を検討するとき

可能であれば、メールなど記録が残る方法で確認するか、電話で確認した内容を園内メモとして保存しておきましょう。

段階4|購入・実施後は、支払いと内容が分かる書類を残す

購入、契約、研修、避難訓練を実施したら、何にいくら使ったのかが確認できる書類を保存します。

書類・記録確認できること
見積書事前の内容、数量、単価、金額
発注書・契約書何を発注・契約したか
請求書請求された内容と金額
領収書・支払い記録実際に支払ったこと
納品書何が納品されたか
商品資料購入した物品の仕様
商品・設置写真実際に整備したこと
研修・訓練資料実際に行った内容
参加者・実施記録誰が参加し、何を確認したか

重要なのは、次の2点が後から確認できることです。

  • 実際に支払ったこと
  • 何に支払ったのか

クレジットカード、ネット購入、振込などで一般的な領収書が発行されない場合は、注文履歴、請求明細、振込記録など、何を購入し、いくら支払ったかが分かる資料を保存します。

ただし、何を支払いの証拠として認めるかは自治体によって異なります。購入前に確認してください。

防災研修・避難訓練で残しておきたい記録

防災研修や避難訓練では、請求書や領収書だけでなく、実際に何を行ったのかが分かる記録も残します。

記録する項目内容
実施日時日付、開始時刻、終了時刻
対象者職員、園児、保護者、参加人数
実施内容火災、地震、水害、乳幼児避難など
配布・使用資料研修資料、訓練計画、役割分担表
写真研修・訓練の実施状況
講師・委託先氏名、事業者名
経費謝金、委託費、交通費、資機材費
振り返り良かった点、課題、次回の改善

特に避難訓練では、うまくできたことだけでなく、実際にできなかったことや時間がかかったことも記録します。

例えば、次のような内容です。

  • 避難車を保管場所から出すまでに時間がかかった
  • 誘導ロープを持つ担当が決まっていなかった
  • 園内放送が一部の部屋で聞こえなかった
  • 0歳児を避難させる職員数が不足した
  • 避難先で園児数を確認する方法が分かりにくかった

できなかったことに気づき、次回の改善につなげることが、避難訓練の重要な目的です。

ファーストレスキューでは、保育園の状況に合わせた職員研修や避難訓練の設計・講評に対応しています。

段階5|実績報告では、何に使ったかが分かるように整理する

自治体から実績報告書や経費内訳の提出を求められた場合は、何を実施し、防災対策とどのように関係するのかが分かるように整理します。

内容記載例
防災備品地震・水害時の園内待機に備え、非常食・保存水・簡易トイレを整備した
避難用品乳幼児の園外避難に使用する避難車・誘導ロープを整備した
防災研修職員向けに火災・地震時の初期対応と乳幼児の避難方法を確認した
避難訓練支援避難経路、役割分担、避難用品の使用方法について外部講評を受けた

経費内訳は、次のように内容と数量が分かる形にします。

科目・内容金額積算・内訳の例
防災備品購入○○円防災ヘルメット○個、簡易トイレ○セット
避難用品購入○○円誘導ロープ○本、拡声器○台
防災研修○○円職員向け防災研修、外部講師費用
避難訓練支援○○円訓練内容の見直し、当日講評、振り返り支援

自治体によって、報告書の様式や記載項目は異なります。

この記事の例をそのまま転記するのではなく、必ず自治体が指定する様式と記載方法に従ってください。

関係書類は一つのフォルダにまとめる

後から負担になりやすいのは、書類そのものを作ることより、カタログ、見積書、領収書、研修資料などを探し直す作業です。

年度ごとに、一つのフォルダへまとめておきましょう。

フォルダ構成例

施設機能強化推進費加算_令和8年度
├─ 01_自治体確認
├─ 02_商品資料・実施内容
├─ 03_見積・契約
├─ 04_請求・支払い
├─ 05_写真・実施記録
└─ 06_実績報告

紙で管理する場合も、同じ順番でファイルを分けておくと、報告時に探しやすくなります。

保存するファイル名にも、内容と日付を入れておきましょう。

例:

2026-08-01_避難車見積書.pdf
2026-08-05_自治体確認メモ.pdf
2026-09-10_職員防災研修資料.pdf
2026-09-10_職員防災研修写真01.jpg

頻繁に見るものでないからこそまとめておくことが大事です。

自治体へ確認する研修・訓練内容と見積を整理したい園へ

ファーストレスキューでは、保育園・幼稚園・認定こども園などを対象に、元消防士による職員向け防災研修や避難訓練サポートを行っています。

施設機能強化推進費加算の対象可否を判断したり、適用を保証したりするものではありませんが、自治体へ確認するために必要な次の内容を整理できます。

  • 研修・訓練の目的
  • 実施内容
  • 対象者
  • 実施予定時期
  • 見積書
  • 防災教育・避難誘導体制との関係

園の立地、建物、園児の年齢、職員体制、現在の避難訓練などを確認したうえで、研修または避難訓練の内容と見積をご提案します。

職員向け防災研修を検討している方

元消防士による保育園向け出前防火防災講座を見る

避難訓練を見直したい方

元消防士による保育園の避難訓練サポートを見る

研修・訓練の内容と見積を相談したい方

施設機能強化推進費加算を活用した研修・訓練について相談する

よくある質問

自治体へ確認する前に購入してもよいですか?

購入後に対象外と判断された場合、園の負担になる可能性があります。
購入・契約できる時期や申請手順は自治体によって異なるため、原則として購入・契約前に確認してください。

見積書は必ず必要ですか?

必要書類は自治体によって異なりますが、購入内容、数量、単価、合計金額を確認する資料として、見積書を準備しておくと相談を進めやすくなります。
複数の見積書が必要かどうかも、自治体へ確認してください。

ネットで購入する場合は何を保存すればよいですか?

少なくとも、次の資料を保存します。

  • 商品ページ
  • 注文内容
  • 購入日
  • 数量・金額
  • 支払記録
  • 納品内容
  • 購入した商品の写真

何を領収書等の代わりとして提出できるかは、購入前に自治体へ確認してください。

防災研修や避難訓練では何を記録しますか?

実施日時、対象者、参加人数、実施内容、配布資料、写真、講師・委託先、経費、振り返りなどを記録します。
訓練で見つかった課題と、次回どのように改善するかも残しておきましょう。

領収書が発行されない場合はどうすればよいですか?

注文履歴、請求明細、振込記録など、購入内容と支払いが分かる資料を保存します。
ただし、自治体がどの資料を認めるかは一律ではないため、事前確認が必要です。

自治体への確認は電話だけでもよいですか?

確認方法は自治体によって異なります。
電話で確認した場合も、確認日、部署、担当者、回答内容を園内メモとして残しておくことをおすすめします。

まとめ

施設機能強化推進費加算を使うときは、最後にまとめて書類を準備するのではなく、検討、自治体確認、購入・実施、報告の各段階で資料を保存することが重要です。

基本となる流れは、次の5段階です。

  1. 園の防災上の課題と使いたい内容を整理する
  2. 商品資料、実施内容、見積書を準備する
  3. 購入・契約前に自治体へ確認する
  4. 支払いと実施内容が分かる書類・記録を残す
  5. 自治体の様式に沿って報告し、関係書類を保管する

特に重要なのは、物品名やサービス名だけではなく、

  • 園のどの課題を改善するのか
  • 何の災害に備えるのか
  • 誰がどのように使用するのか
  • 研修や訓練によって何を確認するのか

を説明できる状態にしておくことです。

関係書類を一つのフォルダにまとめ、自治体へ確認した内容も記録しておけば、実績報告や担当者交代の際の負担を減らせます。

施設機能強化推進費加算を、単なる物品購入で終わらせず、園の備品、職員研修、避難訓練を実際に機能させる取組につなげてください。

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